無垢木に惹かれる
無垢木の良さに気づいたのは、フィンランド留学中のこと。
興味が湧いたのは特に床板で
土足文化のある地域で、何十年・何百年と踏み込まれた床材の風合いは
何にも変えられない美しさを感じました。
新しいもの、古いものにはそれぞれの良さがありますが
個人的には、使われて味が出たものに惹かれるようです。
自邸の改修の際に譲れなかったのは
無垢の床材を入れること。
伊勢に来てから、檜や杉という素材が身近になり
檜が持つ表情の品の良さには、ある意味「憧れ」がありました。
子供がおもちゃを落としたり
料理の油が飛んだり
床に傷や汚れが生じるのは毎日のことで
それらが蓄積していくのは避けられない。
でも、それは自分たちがどんなふうにして住んでいるのか
暮らしを映し出しているものであって
悪いことだとは思っていません。
そして何にも変えられないのは、素足での心地よさ。
汚れは拭けば落ちるし
手を入れることで、木はよりその魅力を増す気がします。
新品の美しさを保つことよりも
使い込むことで愛着や家族の歴史が残ることに
今は楽しみを感じています。
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